ホッカイロで脱酸素しながらLG21を培養してみた(中編)

酸素があると増えない(増えにくい)というLG21乳酸菌。どうやって増やしたらいいのか。いろいろ考えているうちに、2つの対策を思いつきました。前編の続きです。

酸素を除く方法を考える

容器内の酸素を除く方法

最初の問題は、容器の隙間にある酸素を、どうやって除くかということ。鍋で考えた場合、水面と鍋蓋の間にある空気に含まれる酸素です。デシケーターや真空ポンプがあるわけではないので、いかに手軽に、安価に済ますかが重要です。

脱酸素剤

先ず思いついたのが、脱酸素剤。焼き菓子なんかを買うと、一緒に入っていますね。三菱化学のエージレスが有名です。いろいろなタイプがあるんですが、最も良く知られているのは、鉄系というタイプ。

鉄って、水をかけると錆びますよね。この時、酸素を消費するわけです。密閉空間であれば、酸素濃度は下がります。これを利用したのが、鉄系の脱酸素剤です。

エージレスは、通販で手に入ることは入るんですが、200個単位くらいじゃないと、売ってないです。単価は10円ほどで、安いんですが。

ホッカイロ

実は、使い捨てカイロ(ホッカイロ)も、中で起こっている反応はエージレスとほとんど、同じです。

Fe+3/4O2+3/2H2O→Fe(OH)3+394kJ/mol

上の反応式は、使い捨てカイロの解説でよく使われているものです。鉄と酸素と水が反応して、水酸化第二鉄(赤錆)と熱になるということを表しています。左にあるO2が、右では無くなっています。つまり、脱酸素が起こるということです。

鉄粉の量が多い分、エージレスよりも強力な脱酸素剤に成り得ます。安全性もエージレス同様、問題ないようです。

使い捨てカイロ

貼るタイプのホッカイロ。単価は18円くらい。今回は、これを、鍋蓋の内側に貼り付けることにします。保温効果もあって、一石二鳥。酸素が残っていればの話ですが。

牛乳中の酸素を除く方法

次に問題になるのが、牛乳内に含まれる酸素。調べてみたところ、絞りたての生乳の場合、溶存酸素濃度は8~10ppmくらいだそうです。高温殺菌された普通のパック入り牛乳の場合も、開封して容器に注ぐ段階で、酸素が溶け込むんで、同じくらいの濃度になるんじゃないかと思います。

明治のおいしい牛乳では、殺菌前に牛乳中の酸素を追い出し、代わりに窒素を入れています。森永やメグミルクでも似たようなことをやっているみたいです。でも、LLパックならまだしも、普通の紙パックなんで、溶存酸素濃度はそんなに変わらない気がします。

温度を上げて酸素を追い出す

未開封の紙パックのまま、電子レンジで温める方法など、いろいろ試されている方がいましたが、今回は、無難に、鍋で加熱して、酸素を追い出す方法を採用します。

高校の化学で習った、気体の溶解度は、一般に、高温ほど小さくなるというやつです。この『一般に』というのが曲者ですが、牛乳の88.5%は水分だそうなんで、たぶん大丈夫でしょう。

後編では、いよいよ培養です。

コメント